外国人参政権の「不適切」出題 大学入試センターの対応めぐる批判の底流(産経新聞)

【日本の議論】

 大学入試センター試験・現代社会の外国人参政権に関する記述に批判が相次いだ問題。同センターでは出題はあくまで教科書記述に準拠しており、問題はないという立場を崩さない。教科書を見ると、最高裁判決をほぼ半分の教科書で取り扱っているのは確かだが、判決の全体像はほとんどカットされているのが現実だ。「裁判闘争」の産物が教科書に盛り込まれ、学校で生徒たちに教えられていく。それが受験に出題されれば今度は疑えない事実と化していく。これまでも繰り返された光景で、思想統制にもつながる問題をはらんでいる。(安藤慶太)

■外国人参政権は「誤りではない」?

 批判対象となっている現代社会の設問をもう一度振り返っておこう。日本の参政権に関する記述として「適当でないもの」を4つの選択肢の中から選ばせる出題だ。憲法改正の国民投票の投票資格や被選挙権の年齢などをめぐる選択肢とともに、「最高裁判所は外国人のうちの永住者等に対して地方選挙の選挙権を法律で付与することは憲法上禁止されていないとしている」と書かれていた。

 問題の正答は「衆議院議員選挙において、小選挙区で立候補した者が比例代表区で重複して立候補することは禁止されている」という明白な誤りの記述がある(4)となっている。

 結果的に外国人参政権に関する選択肢は「誤りではない」ことになる。選択肢で扱われた記述は平成2年に大阪で永住資格を持つ在日韓国人らが選挙権を求めて起こした訴訟の7年2月の最高裁判決を踏まえたもので、判決では「参政権は国民主権に由来し、憲法上日本国籍を有する国民に限られる」とする従来の判例を維持。上告を棄却し、原告側の敗訴が確定していた。

 ただ、判決の傍論で「法律で、地方自治体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではない」とも述べた。

 だからこの選択肢は完全な誤りではない、と見ることは可能だ。が、果たして妥当な出題だったかといえば、多くの問題をはらんでいる。これまでも、この傍論はメディアが散々持ち上げ、「最高裁は外国人の地方参政権の付与に対して違憲ではないと判断した」などと強調され、推進派によって外国人参政権付与の根拠として再三、持ち出されてきた経緯があったからだ。

 いったんセンター試験に出題されれば、それは学校でも予備校でも有無をいわせぬ事実として教えられていく。判決の根幹と付加的な物言いとを斟酌(しんしゃく)せずに十把一絡げに「最高裁の立場」。しかも事柄は国家の主権に直接かかわる重大問題で、法的にも政治的にも今まさに是非が論じられている。こういうなかで、このような出題は生徒たちを一面的な見方に駆り立てる不適切な問題ではないかというわけだ。

■「きちんと勉強した人には正解が2つに」

 大学入試センターは「試験問題は教科書を基礎として出題している」とし、この設問にも「多くの『現代社会』の教科書で言及されているこの最高裁判決を、選択肢の一つとして取り上げた」とコメントした。川端達夫文科相も「特段問題があるとは思わない」(予算委員会)と述べた。

 では実際の教科書記述はどうなっているのだろう。

 文部科学省によると、現在使われている高校の現代社会教科書は11社から17種類が発行されている。このうち、平成7年の最高裁判決を取り扱っているのは東京書籍、山川出版社、清水書院、帝国書院、一橋出版と実教出版2種類の6社7種類にのぼり採択率で8割を超えるという。

 このうち、一橋出版は本文で《参政権は、権利の性質上、精神的自由など誰に対しても認められる人権とは異なり、国民にしか認められていない。この参政権を在日(定住)外国人に認めるべきかについて議論がある》。ここでは選挙権が国民固有の権利であることを明記している。

 そのうえで脚注で《日本に住む外国人が選挙権を求めた訴訟で、最高裁判所は1995年2月に永住外国人にも地方参政権を認める余地のある判断を示したが2008年8月の判決では、地方参政権を日本国民に限っている公職選挙法などを合憲とした》。

 直近の最高裁判決を例に「選挙権は日本国民に限る」といい、「公職選挙法を合憲」と判断したのだからこの教科書を使った生徒にとっては正解は2つに見えるだろう。

 実際に今も高校の教壇で現代社会を教えている義家弘介参院議員も「一橋出版で勉強した生徒に限らず、私の授業を受け最高裁判決をきちんと勉強した人にとっては正解が2つになる。明らかに不適切な問題だ」と指摘する。熊本県内の中学校で社会を教える男性教諭も「外国人参政権はまだ立法もされておらず、最高裁判所が憲法判断する段階ではない。傍論は『最高裁判所』が判例となる判断として述べたものとはいえないのではないか。だから、この記述を『適当でない』とする解答を間違いとはできない」

 学会でも「参政権付与はたとえ地方でも憲法違反」というのが主流意見となっている。一橋出版の教科書はこうした学会動向を踏まえながら最高裁の原則的な考え方も記述したものといえるが、しかし、こうした丁寧な記述はむしろ少数派だ。

 典型的な記述は《日本に住む外国人は年々増加し、2006年現在、208万人をこえて、日本の総人口の1・6%を占めています。これらの人々は国や地方への参政権を認められていません。これに対し、1995年最高裁判所は、永住権をもつ外国人に地方政治への参政権を認めることは憲法の許容範囲内だとする判断を示しました。これを受けて、外国人の地方参政権についての請願が国会内を含めて行われています》(帝国書院)といった具合。

 判決をめぐる詳しい解説には触れておらず、全体像はつかめない。このため、生徒は判決の述べた本論と追加的に述べた考え方のうち、参政権推進の立場の人たちに都合の良い事実だけを覚えることになる。なかには「おもな国の外国人参政権」と題して事情や背景が異なる国の地方参政権の取り扱いを一覧にしてあたかも「外国人の地方参政権を容認」するのが世界の趨勢(すうせい)であるかのように見まがう教科書もあった。

 「ヨーロッパの場合は移民の問題のほか、EU統合のなかで、EU市民の権利として認められたケースばかり。豪州なども旧宗主国の英国との関係で認められた話で参政権を国民以外に与えるなど、むしろ世界に例がない動き」(民間憲法臨調関係者)

 判決以降、教科書検定はこれまで5回実施されたが、検定意見を審議する教科用図書検定審議会で、この判決に関する教科書記述のあり方が議論されたことはない。このため、記述の書き換えなどはこれまで全くなかったという。

■試験制作者に自覚はあるか

 似たような事案は、過去にもあった。平成16年度センター試験「世界史」で「強制連行」を確定的事実として取り扱った設問があり、公正であるべきセンター試験なのに特定のイデオロギーにくみした出題として批判を浴びた。

 本来はニュートラルに「徴用」という言葉を使えば事実は十分表記できる。それをあえて「強制連行」という“左翼用語”や“運動用語”を用いる出題は適切さを欠く−というわけだが、このときもセンターは「教科書に掲載されている」という論理の一点張りだった。

 真の問題は、こうした言葉が教科書にまで載ってしまっている不用意さにあることは確かだ。一部の「プロ市民」が繰り返し裁判闘争を繰り返し、要求を突きつけていく。政府や裁判所など公的機関がやがて要求にわずかでも耳を傾けると、それは、「画期的判断」と持ち上げられ、のちに教科書に掲載される。そのうち試験で出題されて、疑うことが許されない「事実」として受験生の頭を縛っていく。

 これこそ思想統制にほかならない。教科書やセンター試験の作成者に、そうした自覚や危機感はあるのだろうか。少なくとも「教科書に載っているから問題ない」では済まされない問題をはらんでいるのだが…。

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糖尿病根本治療に道 膵島移植の拒絶反応解明 福岡大・理研(産経新聞)

 重症糖尿病の根本的治療法として期待される膵島(すいとう)細胞移植で、タンパク質の一種「HMGB1」が拒絶反応を促し、移植効果を妨げることを、福岡大と理化学研究所の研究チームが突き止めた。HMGB1の抗体投与で、拒絶反応を抑え移植効果を格段に高めることも判明。研究成果が米医学誌「ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション」電子版に2日掲載された。

 福岡大の安波洋一教授(再生・移植医学)によると、HMGB1の抗体を治療薬として投与し、拒絶反応を抑える方法がヒトでも確立されれば、糖尿病1型の重症患者に対する根本治療として膵島細胞移植の普及が大幅に進む。早ければ4〜5年後には本格的な治療を開始できる見込み。

 糖尿病マウスに膵島細胞移植を実施すると、膵島細胞に多く含まれるHMGB1が細胞外に放出され、免疫系のリンパ球「NKT細胞」などが活性化し、拒絶反応を起こしていた。移植前にHMGB1抗体を投与すれば拒絶反応を避けることができ、従来の4分の1以下の細胞数の移植で糖尿病マウスの血糖値を正常に保つことができたという。

 膵島細胞移植は、膵臓移植に比べて体への負担が少ないとされ、重症糖尿病患者の根本的治療として期待されている。ただ、拒絶反応が激しいことが最大の課題とされてきた。

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暖冬だから?出水のツル、最も早い北帰行(読売新聞)

 国内最大のツルの越冬地・鹿児島県出水市の出水平野で27日、ツルの北帰行が始まった。

 県ツル保護会によると、1964年に観測を始めてから最も早い北帰行で、保護会は「ここ1週間ほど晴天に恵まれ、暖かかったため、春が訪れたと感じたのではないか」と話している。

 午前10時47分、マナヅル2羽を先頭に約200羽が鳴き声を上げながら飛び立つのを、ツル保護監視員が確認。群れは上空で旋回した後、北西方向に向かったが、午後1時30分までに150羽ほどが戻り、27日に北帰行を確認できたのは43羽だった。

 これまで最も早い北帰行は2004年の1月28日で、昨年は2月6日だった。北帰行は3月末まで続く。

 出水平野では今季、1万1637羽が飛来し、1997年以降13季連続で1万羽を超える「万羽鶴」を達成している。

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自転車で女性つけ脇腹触る…救急隊員「魔がさした」(読売新聞)

 路上で女性の上半身を触ったとして、大阪府警守口署は1日、大阪市消防局城東消防署消防士、上田哲也容疑者(27)を府迷惑防止条例違反(痴漢)容疑で現行犯逮捕したと発表した。上田容疑者は「魔がさした」と述べ、容疑を認めているという。

 発表によると、上田容疑者は31日午後9時25分頃、大阪府守口市南寺方東通の路上で、30歳代の会社員女性の脇腹を触るなどした疑い。女性は近くの知人宅を訪れる途中で、悲鳴を聞いた知人が上田容疑者を取り押さえ、署員に引き渡した。

 上田容疑者は非番で、自転車に乗っていて女性を見かけ、後をつけたという。

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 川村たかしさん78歳(かわむら・たかし=本名・川村隆、児童文学作家、日本児童文芸家協会長)30日、肺気腫のため死去。葬儀は3日午前11時、奈良県五條市五條4の10の1、五條市斎場ハートピアさくら。自宅は同市新町2の1の14。喪主は長男隆一朗(りゅういちろう)さん。

 五條市出身。同市内の小、中学校などで教師をしながら児童文学を発表した。代表作に「新十津川物語」「山へいく牛」など。

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